昔 話
あれは7年ほど前の今くらいの時の話です。
僕には好きな人がいました。
その相手は中学の頃から知っている子で、歳は僕の2個下。共通のスポーツ仲間です。
中学の時から可愛くて、結構人気者の子でした。
僕はというと中学の頃は多感な時期なはずなのにアニメにしか興味がなく(今もだが)、その当時はほぼ話したこともありませんでした。残念ながらこのころは恋愛にも興味なし。
歳を重ねるにつれて仲間は引退していき、気づくと同年代で現役の選手が数人。
昔から顔は知っているのに、大人になってから可愛いなって思っていたのに、中々話しかけるタイミングがなく仲良くなる機会がありませんでした。
その子の事を「A」とします。
とある大会の日。試合が終わった僕はラーメンが食べたくて、ラーメン屋を調べていました。

ラーメン好きなんですか?
後ろから話しかけてきたのはAでした。
どうやら後ろから携帯の画面が見えたらしく、Aもまたラーメンが好きで気になったと。

俺のおすすめは○○ってところなんだけど今度一緒に行く?

そこ食べたいと思ってたんです!!連れてってください!
可愛いと思っていた子とこんなにも簡単にご飯へ行けるなんて、今日このタイミングでラーメンが食べたくなったのは天からの思し召しか!?!?!!?なんて。
ラーメン当日。
いつもは大会や練習でしか見なかったので初めてAの私服姿を見ることになるのですが、そうとは思わず迎えに行きました。

お願いしますー♡
えっかわいい
よく考えたら私服で来るのなんて当然なのに、浮かれてたんでしょうね。
予期せぬ私服に語彙力がなくなります。

あっうん。
うん。
何はともあれ、Aの私服姿に圧倒されながらラーメン屋に向かいます。
勿論ラーメンを一緒に食べるというのが本日のメインになりますが、今日出来れば確認しておきたい事もありました。

勢いで誘っちゃったけど彼氏大丈夫なん?怒らない?
出ましたーーーーー!!!
彼氏いるの?って聞きづらくてとりあえずそれとなく彼氏いるか確認する時に出る様々な言い回しの中の一つ!!!!

怒る彼氏なんていないから大丈夫ですよ♡
わかりずらい
彼氏がいないのか!!!こんなことで怒らない彼氏なのか!!!!!
そんなこんなでAには彼氏がいないことを無事確認。
ラーメンも食べ終わり楽しい時間はあっという間に終了。

今度どこ食べに行く?

じゃあ次は私のおススメのお店にしましょうよ!
次の約束もばっちり取り付ける。出来る男の技ですね。
こうして僕とAの仲はラーメンを通して深くなっていきます。
ある夏の日、いつものようにラーメンを食べた後、やっぱりラーメンだけじゃ物足りないので思い切って誘ってみました。

コーヒーでも飲みにいかない?

私コーヒー飲まないので・・・

スタバならいいですよ♡
飛び上がるほどうれしい感情を押し殺し、あたかも動揺していないように見せながらスタバへ。
夏と言えども夜は風が気持ちよく、二人でベンチに座って理想の恋人について語り合いました。
好きなタイプを聞かれると自分は「好きになった子」としか言えないのですが、皆さんは具体的なタイプってありますか?
あの日Aはこう言いました。
優しくて・・・面白くて・・・
あれこれ俺じゃん??????
今このタイミングでこの特徴完全に俺やんと最早頭の中では勝利宣言
話は弾み、時間も遅くなったので帰ることに。
車の中でも会話が絶えず、ふと目にとある光景が飛び込んできます。

花火・・・

???
馬鹿でもわかると思います。
夏と言う季節に花火デートに誘われる「意味」
今のいい雰囲気も、デートに誘って断られたら台無し。
関係が壊れてしまう恐怖から、変な沈黙が車内を駆け巡る。
しかし僕が求めているのはこんな関係ではありません。言わなければ先に進めないのなら言うしかない。

今度花火大会あるんだけど一緒に行かね?
決死のお誘いでした。高鳴る心臓を押さえながら、断られる恐怖と戦いながら。

花火ねぇ・・・

今年まだ行ってないし、いこっかな!
わかりますか?このOK?
このタイミング、この返事ですよ。
OKが来た時の興奮はいまだに忘れません。未練があるわけではないですよ。
ただ恐怖に打ち勝ち、光が見えた時の気持ちの高鳴りは中々忘れられない物です。
Aを家まで送り届けた後の一人の車内、流れる曲が全て神曲に思えました。
そして花火当日
突然Aから連絡が来ました。

今日迎えに来てもらうの1時間遅くしちゃだめですか??
かなり余裕を持って迎えに行くことにしていたので全く問題はありませんでした。
花火を一緒に見に行けるなら1時間くらいなんてことはありません。

OKOK!全然大丈夫!

よかったー♡

せっかくの日なんでお母さんに浴衣着せてもらおうと思ったら仕事その時間じゃないと終わらないらしくて;;
これですよ
わかります?出来る男とそうでない男の差。ここで出ます。
もうホント恋愛なんてただのヌルゲーだと思いましたね。
言わずとも祭りで浴衣を着させるテク。メルマガ配信しよかなってレベル。
そして言われた時間に迎えに参る僕。
浴衣アアアアアア!!!!!!
浴衣の破壊力たるや。わかりますよね。そう、破壊力は表現出来ませんが、その浴衣で
Aは僕の前に現れたのです。

花火よりもきれいだよ
言えるわけないやろこんなセリフ
思っただけ。このセリフを胸に仕舞い込み、いざ花火へ。
いつもとは違う花火、自分が想いを寄せる人が、恋い焦がれる人が横で「きれい・・・わあ・・・」と呟く。ツイッターではない。
もう俺に迷いはない
花火が終わったら告白しよう
今日のために浴衣を着て、花火を一緒に見てくれた
もうわかるだろう、カードはそろってます。もう逃げるコマンドの選択肢は皆無。
帰りの車内、慣れた俺はコーヒーと言いつつスタバに誘いました。
前と同じようにベンチに座って、話し出す。
俺の心は決まっています。
やっぱりこういうのって男から切り出すものだと思ってます。
けじめ事は男から。恋愛の鉄則です。
想いのためを全て言葉に乗せて言いました。

俺たち・・・付き合わない?
答えの分かり切っている話なのになぜか緊張しました。人生に100%ってもんはないからでしょうか。

あの・・・
うん!

あたし・・・
早く言っちゃいな!!!

先輩は先輩としか思えません
わかりますか諸君。これが出来る男がもらう返事です。
ん?
俺は見たことがあるんですよ。
デートにゃムードってもんが大事で、告白なんて尚更ムード作りが肝心だと。
さらに言うならば、夏に花火見た後なんて効果テキメンやって。
なんですかこれは。
花火の後に告白すると良いって書いたやつ出て来いよ
なんとも言えない空気が流れ、帰ろうと一言。
俺は無事家にAを送り届けました。
Aを家まで送り届けた後の一人の車内、流れる曲が全て糞曲に思えました。
良いですかみなさん、世の中100%ってもんは存在しません。
ムードなんて信用するな
っという昔話でしたとさ。
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